わたしと専務のナイショの話
「そうだな。
 俺もだ。

 なんでお前ごときがこんなに好きなのか。
 自分で自分に騙されてる気がするよ」
と手を握ったまま京平は言ってくる。

「そもそも恋なんて、子孫を残そうとする遺伝子に操られてるだけの幻なのにな」

 すみません。
 やっぱり手を放してください、と京平の大きな手から逃れようと、その手の中でいろいろ手を動かしてみているのだが。

 お前ごときと言うわりに、手が離れない。

「いいんじゃないか?
 俺もお前も一生上手く騙されとけば」
と京平は笑う。

 でも、きっとそれが難しいことなんですよね、とのぞみは思っていた。

「そういえば、お前、あのあと、御堂とはなにもないだろうな」

「あるわけないじゃないですか。
 ケロッとしたもんですよ、御堂さん」

 まあ、謝罪したいと言ったときから、まったく殊勝な感じはなかったが、と思うのぞみに京平が言ってきた。

「まあ、お前とのキスなんて、御堂の中では物の数にも入ってないだろうからな」

 貴方の中の私の評価はどのような感じなんですかね?
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