わたしと専務のナイショの話
 


「なんだ。
 うちに寄らずに帰るのか」

 車の中で、京平が言ってきた。

「心配しなくとも、襲わないぞ。

 ……と建前上は言っておこう。

 まあ、その後、どうなるかは俺にもわからんがな」

「その後どうなるかが怖いので、帰ります……」
とのぞみが言うと、

「下着が量販店のだからか」
と言ってくる。

「違いますーっ」

 だんだん、量販店が中華飯店に聞こえてきましたよ。

 その後、何故、のぞみが、中学時代、猫にひかれた女と呼ばれていたのかという、くだらぬ話をしているうちに、家の前に着いた。

「おやすみ」
と言う京平に、

「おやすみさな……」
と言いながら降りようとしたら、肩をつかまれ、助手席に引き戻された。
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