わたしと専務のナイショの話
 



 お昼休み、のぞみは、万美子とかなりしゃべって、職場に戻った。

 ほとんどが、祐人とも、京平とも関係ない話だったが、お互いよくしゃべったので、すっきりしていた。

 すると、秘書室に入った途端に、祐人に腕をつかまれる。

「ちょっと来い、坂下。
 名簿の読み合わせに付き合え。

 漢字、一字たりとも間違うなよ」
と脅迫まがいの口調で言われる。

 ひいっ、とその眼光に固まったのぞみは、キョロキョロと万美子の姿を探した。

 今こそ、万美子さんっ。

『なに言ってんのよ、私が手伝うわよ。
 そんな子放っといて、私と行きましょうよ、祐人』
とか悪女っぽく――

 ……失礼。

 色っぽく笑って、御堂さん連れてってくださいよっ。

 ああっ、なに呑気に笑いながら、化粧直しに行ってんですかっ、とトイレに先輩秘書の人と入ろうとしている万美子を見つけ、のぞみは心の中で叫んだ。
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