わたしと専務のナイショの話
「のぞみ」
と呼びかけた京平が、

「こんなに大事にした女はお前が初めてだ」
とのぞみの頰に触れながら言うと、信雄が、

『じゃあ、今まで、他の女とは、いろいろあったんですか』
と不安そうな顔をする。

「俺は――

 俺が人生を共にする女はお前以外、居ないと今は思っている」
と京平が言うと、

『涙で言葉が出ない……』
という顔を信雄がする。

 お父さん……。

 いちいち、私の感情を先取りするような顔をしないでください、とのぞみは思っていた。

 京平は、そこで、照れたように手を離し、言ってきた。

「お父さんたちも居るんだろうに。
 こんなところで、告白してしまって、すまない」

 ……いや、そこに居ます、とのぞみが思ったとき、信雄は、のぞみと目を合わせると、コクリと頷く。

『今だ、のぞみ。
 キスでもしろ』
という顔をしてきた。
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