わたしと専務のナイショの話
「いや、みなさん、楽しそうなのでよかったと思います。
 やっぱり、餅は餅屋に任せた方がいいですよ。

 私じゃ右も左もわからないので」

「いや……うちの親はウエディングプランナーじゃないんだが」
と言われたが。

 かねてより、息子の結婚式をああしたいこうしたい、とイメージしていただけのことはあり、アイディア豊富で素晴らしい式だった。

 女子受けが特によく、鹿子や万美子は、ぜひ、自分の結婚式にも幾つか取り入れたい、と言っていた。

「相手も居ないくせになあ」
といつものように、祐人が毒を吐き、女性陣に総攻撃を受けている――。

 そのとき、
「やあやあ、お招きありがとうございます」
と声がした。

 げ、田中常務、とのぞみは固まる。

 京平の宿敵、田中常務だ。

 会社の関係で、もちろん式には呼んであった。

 田中常務は、小柄だが、威圧感があり、いっそすがすがしいほどの悪人ヅラをされている方だ。

 常務は並んで立つのぞみたちを見、
「結局、こういう感じに落ち着いたんですか」
と言ってくる。

「私はそういうつもりで、貴女を入れたのではなかったのですけどね」
と常務はのぞみを見て言った。

「えっ?」
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