わたしと専務のナイショの話
「いや――」
と京平が断りかけると、京平の父が、

「ああ、そうか。
 まだお前には、無理かー。

 今の会社で専務ですら、まともにこなせてないようだもんなー」
と笑いながら言う。

 カチンと来たらしい京平の顔を見ながら、

 ……これか、とのぞみは思っていた。

 こういう言葉であおって、教師をやめさせたんだな、と気づく。

「教師も無理。
 専務もいまいち。

 そんなんじゃ――」

「お義父さま」
とのぞみは京平の父の言葉をさえぎった。

「京平さん、まだやりませんから、社長とか。
 せっかく、専務として、厳しい田中常務にも認められてきたところなのに」
と側で伽耶子と話していた常務を手で示すと、常務は、

 えっ?
 まだ、認めてないけどっ?
という顔をする。

 のぞみは常務をキッと振り向き、

 じゃあ、京平さんの代わりに、野心満々な専務とかやってきて、めんどくさいことになってもいいんですかっ、
と目で訴える。
< 441 / 472 >

この作品をシェア

pagetop