わたしと専務のナイショの話
 修学旅行で、なにかしでかして。

 見張られるために、先生たちと同室にさせられる、みたいな感じで、ロマンとは程遠い。

 そうか。

 これから、あのマンションに帰るのか。

 改めて、のぞみは、そう思った。

 この間、少し、京平の部屋に荷物を運んだ。

 エレベーター前で出会った同じマンションの人に挨拶しながら、不思議な感じがしていた。

 最初に京平のマンションを見たとき、教員だった頃の京平が家族で住んでいても、そう違和感はないマンションだな、と思ったのだが。

 あのとき、本当は、京平の家族として、あそこに住む自分を思い描き、違和感ないな、と思ったんだったような気がする。

 これから、あそこに二人で住んで。

 あのとき歩いた夜道を通って、買い物に行って。

 ファミレスに行って――。

 そうして、日々、暮らしていくんだろう。

 そう思ったとき。

 何故だろう。

 式で誓いの言葉を言ったときより、泣きそうになった。

 夢のように美しい結婚式より、リアルに自分たちの未来が見えた気がしたからかもしれない。
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