世界で一番優しい嘘〜短編集〜
*❀٭
あの時のあたしには夢があった。
確かにそれは、夢、と言えるものだった。
ここでひとつ、あたしから伝えたいことがある。
『罪』は『贖罪』
誰かの罪は本人以外にも贖罪として気づいたらそこに『居る』んだ。
自分だけの話では済まない。
皆、誰しも何かしらの罪を背負って生きている。
*❀٭
「母さ・・・?
今なんて・・・?」
それは急に訪れた。
母は言った。
あたしの父が、母の夫が、人を殺した、と。
「こんなこと・・・嘘なんかで冗談で・・・言えるはずがないでしょう・・・
あの人は・・・っミドリくんのご両親を・・・っ」
・・・ミドリ・・・っ?
なぜ、なぜーーー
「・・・なんで・・・っ
父さんは・・・っ、人を守る仕事だぞ・・・っそんなこと・・・っ
人違いに決まってる!」
そう、あたしの父さんは、とても優しい。
優しいんだ。
そう、優しくてーーー。
それよりあとのことは何も考えれなかった。
それからはあたしにとって地獄だった。
外を歩けば、『人殺し』と罵声を浴び、家にいるだけなのに、『早く出ていけ』などと家に向かって石を投げる、ペンキをかける。
することは人それぞれだったが、あたしは悲しい、よりも悔しかった。
父は行方不明になった。
あたしは父がするはずがないと信じていたから、無実だと言いたかった。
人殺しでなんかない。
あれは・・・きっと事故に違いないんだ。
仲の良かった幼馴染たちも、あたしから離れていった。
アイでさえも、『お前なんか死ねばいい』と言った。
海斗も、『お前は生きてる価値はない』と言った。
「・・・なぁ、玲斗」
あたしは玲斗の家に押しかけていた。
体調が優れないのか、ベッドに横たわっていた。
だが、あたしに気づくと、すぐに身体を起こした。