彼の隣で乾杯を
余りに広い寝室と大きなベッド。
どこにいていいものかと頭を抱えてしまい、結局窓の外を臨むソファーでボーっとしていた。
このソファーも私のアパートのベッドよりも大きいものだった。もちろん座り心地も満点。
「ほら、水だ」
いつの間にかバスルームから戻った高橋がミネラルウォーターのボトルを持って目の前に立っていた。
フッと笑って「寝てたな」鼻で笑われる。
「寝てたつもりはなかったんだけど?ボーっとしてたら意識がとんでたかも」
ボトルを受け取ってごくごくと冷たい水を流し込む。
「お前、酒飲みすぎだろ」
「うん、ホント、その通り」
ふふっと笑って隣に立つ高橋を見上げると高橋はにこりともしない。
それよりも…。
男性用のナイトウェアは私とお揃いの白いシルクパジャマ。
高橋は上のシャツを着ないで肩にバスタオルをかけズボンだけはいていた。
「何だか恥ずかしいから上も着てよ」
「恥ずかしいって今さらだろーが。まだ暑いんだよ」
いやいや、今さらってなに。
私たちはトモダチだし私の部屋にいるときはシャワー後でもいつもTシャツ着てるじゃない。
「さっき言ってた話だけどな」
不意に高橋の雰囲気が変わった。
うん?と首をかしげて高橋を見ると「由衣子が風呂に入る前に言いかけた話だ」とちょっと怖い顔をしていた。
「うん、今聞く。なに?」
私は隣に高橋が座れるようにスペースを開け座り直した。