彼の隣で乾杯を
「ありがとう。今まで支えてくれて。本当に高橋と早希には感謝してる」
しっかりと深く頭を下げた。

「じゃあもう本気の恋愛再開だな」

下げた頭の上から嬉しそうな弾んだ高橋の声がする。

「え?」

疑問の声を出した私の身体がお風呂上がりのホカホカとした高橋の体温に包まれた。

「ちょ、ちょっと」
あなたまだ上半身裸じゃないのと恥ずかしくなって押しのけようとした手をつかまれる。

「由衣子、俺と本気の恋愛しようぜ」

「本気の恋愛って・・・」
驚いて高橋の顔を見つめる。真剣な表情に私をからかっているわけじゃないことを理解した。

「お前が過去の経験を乗り越えられるまではってずっと待ってたんだ。もう、いいだろ」

「待ってったって・・・」

「お前、ただの同期が部屋に泊まりに行くってどういう関係なんだよ」

「えー、仲がいい異性の友達?妹みたいな?」

「んなはずねーだろーが」

そ、そうなの?
高橋の呆れ顔に私の方がびっくりだ。

「本気の恋愛って私と?」

「お前以外に誰がいるんだ、誰が」
鼻の頭をくいっと押されて笑われる。

「いや、だって、高橋モテるし」

「どこまで鈍感なんだ、お前は」

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