彼の隣で乾杯を
「付き合うまでしつこく誘いをかけてきて、あまりのしつこさに女性が根負けして付き合うと二股三股されてるとか。婚約破棄も過去3回は聞いてる」

「しつこいからと言ってもお付き合いしなければいいのでは？」

「いや、それがねーー」
部長が苦虫を嚙み潰したような顔になる。

「次男坊、顔もそこそこいいし、口説き文句もなかなからしくて。おまけに金もある。例えば、食事に誘われたとするだろう。当然相手はキネックスの息子だ、女性の方だって三ツ星レストランかなと想像することはできるだろう。だけど、相手はその上を行くんだよ。
リムジンで迎えに行き、そこから自社ビルのヘリポートに連れて行って夜の遊覧飛行を楽しんだ後、東京湾上の船上に降りて船のレストランでディナーを楽しむんだ。
船の上だからね、食事が終わって勝手に帰るわけにもいかない。次男坊の気分次第じゃそのまま船にお泊り決定。まあその頃には次男坊の顔と甘い言葉と贅沢な環境に女性の方もうっとりしちゃってるってパターンらしいんだけど。その後は飽きて捨てるとか・・まあお決まりのコースで」

ははーん。
夢みたいな体験にポーっとしちゃうってことですか。

キネックスの次男坊、金の力でエディーと同じようなことしてるんだなと心の中で笑ってしまった。

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