彼の隣で乾杯を
ただエディーの場合は…似て非なるものだ。

やたら長いリムジンで迎えに来るからなんだこれはと驚いていたら、プライベートジェットに乗せられ着いた先はどこかの島にある古城で。妙に雰囲気のあるディナーだったっけ。

パスポートも持ってなかったから不法入国じゃないかってビクビクした記憶がある。エディーは自分の島だから気にしなくていいって笑っていたけど。
あれ、本当に大丈夫だったんだろうかと今でも気になっている。

ちなみにそう言う意味での夜の危機はなかったからそこはキネックスの次男坊とは全く違う。

エディーの秘書ニコラスもいたし、心がつながっていない女性とどうこうなるほどエディーは女性に不自由していない。

純粋に私が喜ぶかなと思って連れて来てくれたらしいから、下心のみの次男坊と一緒にしては申し訳がない。



「やっぱり副社長と谷口さんのカップルように佐本さんに偽でも立派な婚約者を仕立てますか?」
ポチが部長に真面目な顔で進言する。

「エディージオ氏に迷惑をかけるのもなんだし、社長秘書の林君にでも頼むか。彼なら申し分ないはずだ」

「そうですね。林さんなら家柄も社会的立場も問題ないですし、そのままお付き合いってことになっても・・・」

「ああ問題ないだろう」

いや、問題あるでしょう。

私の存在忘れてませんかね?と心配になり「あの」と声をかけたけれど、「あ、今取り込んでるからまた後で」とばかりに部長とポチの話は当事者であるはずの私抜きで進んでいく。
< 174 / 230 >

この作品をシェア

pagetop