モテ期到来!?!憧れ上司とイジワル同期に迫られてます
「悠菜?」


突き刺さる視線に口を噤む。


「悠菜!後でマンションに行くからな!」


剛!

なんて事を口走ってるの!

視線が痛い。

仁が携帯の通話を切り、テーブルに置いた。

その行動がスローモーションのように流れる。

凍るような冷たい視線が私に向けられる。


「悠菜、『わかってるよな』って何が?」

「…………。」

「剛と付き合ってたのか?」

「違う。それは絶対にない。」

「なら、どういう意味?」

「…………。」


口を噤む。


「何か隠してる?」

「…………言えない。」


本当に言えない。

憧れの仁と夢のようなデートをしてるのに、嫌われるような事は言えない。

私はズルい女だ。

付き合うのを躊躇っているのに、いざ嫌われるような事は言えないのだから。


「剛、マンションに行くって?」

「…………。」

「部屋に入れた?」

「入れてない。」

「剛の部屋は?」

「…………。」

「わかった。」


仁は呆れたかもしれない。

無言は肯定だ。
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