その瞳は、嘘をつけない。
「勘違いするなよ。
報告となると結婚前提の公的な物になって、その相手に対する身辺調査が入る。
そうなると、俺とお前だけの問題では無くなるんだ。」

身辺調査って・・・。
本当にあるんだ。
本の中の話だと思ってた。

「そこで、紹介されたのが彼女。
上司の顔を立てるためにも、すぐに断ることも出来ず、会った。」

「そう・・・。」

「もちろん彼女だって、俺なんて眼中にないさ。
真剣に付き合っている男がいる。」
「じゃあ、どうしてお見合いなんて…?」

「だから見合いじゃない。
その彼氏の父親に犯罪歴があるらしくてな。
親に紹介できずにいるうちに、俺を連れてこられた、ってことらしい。」

犯罪歴…
身辺調査という言葉が頭をよぎる。
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