もう一度、愛してくれないか
就業時間中ではあるが、致し方ない。
おれは専務取締役の権限で、自分自身に業務中の私物のスマホを使用する旨の許可を下した。
胸のポケットからiPhoneを取り出して「写真」をタップし、彼女たちにまるで水戸黄門の印籠のように突き出す。昨日、観覧車に乗った時に撮った写真だ。
「……結婚して、もう二十年以上も経つ。
だから、今年我が社に入社した息子を持つ、立派なアラフィフだ」
そういえば、と思って「アルバム」を探ってみれば、息子が二十歳の成人式の際に家族で撮った写真が出てきたので、それも見せる。
どちらにもセミロングの黒髪の女性が、にっこり微笑んで写っていた。これで、昨日の女性と妻が同一人物だとわかるだろう。
「「「「専務……申し訳ありませんでしたっ‼︎」」」」
彼女たちが一斉に頭を下げる。
……理解ればいいんだ。