もう一度、愛してくれないか

「ステキなご夫婦ですねぇ……憧れちゃいます」

豊川が羨ましそうに微笑んだ。
北浜勤務の泉州男と、結婚を考えているのか?

「結婚して二十年以上も経つのに、未だにラブラブなんて、すごいですよ!
共通の『趣味』とかあるんですか?」

「そんなのないよ」

プロともガチでラウンドするおれと、未経験者の妻が、お互い「楽しく」ゴルフできる確率は果てしなく低い。

コンペなんかで同じ組に夫婦がいた場合、たいてい亭主が女房に「余計なアドバイス」をする。
そんな急にできるものではないから、女房が失敗すると、亭主が「それ見たことか」とか「なんでおれの言うとおりにしないんだ」とか言って女房の地雷を踏む。

すると、風薫る緑豊かなフェアウェイのど真ん中で……

「うるさいわねっ!ほっといてよっ!」
「なんだ、おまえ、せっかく教えてやってんのにその態度はなんだっ⁉︎」
「『教えて』なんて、わたしがいつ言った?
だいたい、あなた、わたしに教えられるようなスコアなのっ⁉︎ 調子が悪いとか言って、ほんとは実力ですぐ一〇〇叩くじゃないっ!」

と、罵り合いになるのだ。

< 111 / 200 >

この作品をシェア

pagetop