もう一度、愛してくれないか
「……やっぱり、女の子もほしかったなぁ」
妻がぽつり、とつぶやいた。
「友達がね、今ちょっとご主人といろいろあって家を出てるんだけど、娘さんのところにいるの。息子さんもいるんだけど、やっぱりそういうときに親身になって話を聞いてくれて頼れるのは、娘の方なんだって」
寂しげに、虚ろに笑う。
「……紗香」
おれはそう言いながら、彼女の頭にふわりと手を乗せ、ぽんぽんとする。
今日は対面ではなく、ちゃんと隣に座っているから、ちゃんと寄り添うことができる。
「おれたちは別に揉めることがないんだから、
大地に頼ることなんてないだろ?」
彼女がおれを見上げて、ふっくらと微笑んだ。
「……うん……そうよね……」