もう一度、愛してくれないか
「あたしだって、あなたと一緒に観に行くのなんてイヤよ。そんなの、罰ゲームだわ」
……おまえもイヤなのかっ⁉︎
おれと行くのは「罰ゲーム」なのかっ⁉︎
おれはハンマーで思いっきり殴られたような衝撃を受けた。
「だって、あなただって、大好きなゴルフは気の合う仲間と一緒に行きたいでしょ?
好きでもなんでもないのに『義理』でついて来られちゃ却って迷惑でしょ?」
……あ、そういう意味か。
おれはホッと胸を撫で下ろした。
あぁ、寿命が十年ほど縮んだ思いだったが、元に戻った。
「せっかく夢のような世界を堪能しているのに、隣を向いたらダンナがいた、なーんてブチ壊しだしね」
……悪かったな。
「それに、終わったあとはわかる者同士で、いろいろ感想を言い合いたいものなのよ。
わかんない人には熱く語れないじゃない」
……それは確かに、ゴルフのラウンド後にも言えることだな。
「だから、この前の土曜日……あなたがゴルフの日ね……凌牙さんと観劇してきたのっ!
初めての聖地、宝塚大劇場よっ!」
おれより遅く帰ってきて、やたら疲れた様子でとっとと眠りやがったため、おまえを抱けなくて悶々とした日だ。チクショウっ。
すると、突然、夢見る少女のキラキラした瞳になった紗香が、その時観劇した宙組公演「TRAFALGAR〜ネルソン、その愛と奇跡〜」の主役のネルソン提督を演じた男役トップスター大◯祐飛もさることながら、ナポレオンを演じた蘭◯とむがいかにすばらしかったかを、それからたっぷり二十分もの時間を費やして語った。
……おまえ、終わったあと、おれにでもじゅうぶん熱く語れるじゃねえか。
しかも、先刻より五分延びてるし。