もう一度、愛してくれないか

「……で、おまえ、その頑固な亭主をどうやって説得できたんだ?」

あれだけ揉めてた夫婦を、たった一晩で元サヤに戻した武勇伝を聞かせてほしいものだ。

すると、これまた突然、先刻までの上機嫌だった顔がたちまちのうちに曇った。

「……紗香?」

鋭い視線とともに、おれの顔を見上げる。

「あたし、伊東くんから聞いたの」

みるみるうちに、その瞳に涙がこみ上げていた。

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