もう一度、愛してくれないか
「「ごちそうさまでしたっ‼︎」」
伊東と豊川が深くお辞儀する。
「専務、今度は福島の肉バルに行きましょう!」
JR環状線の大阪駅や阪神の梅田駅のすぐ隣の駅で歩いても行ける距離なのに、美味くてかなりリーズナブルな店が軒を連ねているらしい。
営業の連中はランチでよく利用しているそうだ。
「あーっ、伊東さん、その時は絶対にわたしも連れて行ってくださいよ〜」
豊川が手を擦り合わせて拝む。
「まさか、北浜の彼氏、連れてくるんやないやろな?」
「へぇ〜、豊川君、北浜に彼氏いるんだ?」
あさひ証券は社内恋愛にはノープロブレムだ。
自慢じゃないが専務のおれだけじゃなく、社長も常務もみんな社内結婚だ。
「営業っすよ。おれと同期なんですわ」
ぎろっ、と睨む豊川を、伊東がにやにや笑う。