もう一度、愛してくれないか
♤Chapter 18♤

「おい、紗香。落ち着いて、よく聞いてくれ」

おれは紗香の両肩を、がっ、と(つか)んだ。

「その写真に写ってるという、おれと一緒にいる相手は……おまえだ」

紗香の両目がめいっぱい見開かれる。
みるみるうちに、また、じわっと涙がこみ上げてくる。

「……なんで……そんなウソつくの……?」

「ウソじゃない」

紗香の瞳を見て、きっぱりと言い切った。

「この前の日曜日に、おまえとラブホに入ったときに撮られたんだ」

「あっ……」

途端に、紗香の頬が真っ赤に染まった。

「だって…だって、真也さん、なんだかずいぶん慣れてたんだもん。スムースに部屋まで行けちゃったり、部屋に入ったらすぐにバスルーム見つけてお風呂のお湯を入れに行っちゃったりして」

ラブホなんて行ってたのは、紗香とつき合う前だから、何十年も昔の話だよ。

部屋を選ぶパネルを押したら自販機みたいな取り出し口にガチャンって鍵ごと落っこちてきたり、清算するときには透明なカプセルみたいなところに現金を入れてシューターで送ったりしてた、まだ学生だったバブルの時代の頃さ。

「どうしてもおまえが信じられないんだったら、部下に言って、その『写真』を送ってもらうが。
……自分の目で確かめたいか?」

紗香は首をふるふるふる…と横に振った。

いいぞ……「提案」は成功だ。
おれは心の中でガッツポーズした。
よしっ、ダメ押しだ。

おれはスウェットのポケットから、スマホを取り出した。しばらくタップを繰り返し、スマホを耳につける。

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