もう一度、愛してくれないか

化粧を落としたあどけないスッピン顔で、妻はリビングに戻ってきた。

おれより五つ歳下だが、もうアラフォーを通り越して、アラフィフと言ってもいいような年齢になってしまった。
だが、もともと童顔だったせいか(夫の贔屓目を差っ引いても)ずいぶん若く見える。
三十代後半だといっても通用しそうだ。

二十歳を過ぎた息子と並んでみて、さすがに姉弟には見えないが、若い叔母さんとその甥という感じで親子には思えない。

今は、パイル織のルームウェアを身につけ、セミロングの髪をふんわりアップにしている。
ふんわり漂う香りは、おれのシャンプーとボディーソープだ。

「……あなたのだと、髪がごわごわするわね」

妻は苦笑しながら言った。

< 30 / 200 >

この作品をシェア

pagetop