御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~
大和田さんを睨み付けながら、驚きすぎた身体を落ち着かせようと肩で息をする私。
一方、彼は「びっくりしたー。何で急に殴るの」なんて言ってくるから、イラッとした。


「……私にはくれぐれも近付かないでください!」

叫ぶようにそう言って、私は家を飛び出しーーたかったけれど、この家から歩いて帰るのは無理そうだ。鏑木達を何とか説得して迎えに来てもらうしか帰る方法はないだろう。

なので、大和田さんの横をサッと切り抜け、階段をドタドタと駆け上がる。私の部屋は二階の突き当たりだってさっき言ってたよな。


「あ、日和ーー」

「近付かないでください。そして話し掛けないでください」

追い掛けてこようとする大和田さんにハッキリとそう伝え、私は自分の部屋を発見するとすぐに入室し、閉じこもるようにドアに鍵を掛けた。


そのままドアに背を預け、ずるずるとしゃがみ込む。


あー、もう! 何でこんなことになってしまったの⁉︎


たった数時間前までは、私はいつも通りの平和な日常を送っていた。
それが突然、見知らぬ男との政略結婚の話を切り出され、あろうことか結婚を前提の同棲をさせられることになるなんて……。



「……最っ悪‼︎」

不満の全てをその言葉に乗せて、お腹の底から声を上げた。
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