御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~
すると、後ろからポンと肩に手を置かれ、反射的に振り向く。


……振り向いた瞬間、大和田さんの綺麗な顔が目の前まで近付いていて、またしてもドキンと心臓が暴れる。
……どうやら私は、彼のこの綺麗な顔だけは残念ながら好みのタイプらしい。


「あっ、あの、顔近い……!」

身体を捻って彼から離れようとするも、肩を掴まれているため上手く抵抗が出来ない。

それどころか、軽く身体を押されたかと思った瞬間、私の背は玄関の扉にぶつかり、正面には大和田さんがいてーー完全に挟まれてしまった。

こ、これは有名な壁ドンというやつではないだろうか⁉︎
好みの綺麗な顔が凄く近くにあって、ついでに彼から漂う柑橘系の良い匂いが鼻を掠めて、ドキドキが収まらない。



「日和は、ちゃんと恋愛をして結婚がしたいってこと?」

吐息が顔に掛かるほどの至近距離で囁かれ、名前を勝手に呼び捨てにされていることには思わず反応するのを忘れ、「そう、ですけど!」と必死に答えた。


すると……



「じゃあ、俺と恋愛すれば何の問題もないね」


え? と聞き返すよりも早くーー大和田さんに顎を持ち上げられる。


驚いて目を見開いたのと同時に彼の唇が私の唇に近付いてきてーー



「せせせせせせセクハラですよ‼︎」

「痛っ!」

何とか力を振り絞り、かざした右手で大和田さんの綺麗な肌に平手打ちをした。パーンと見事な音がするのと同時に、彼は私から身体を離し、左手で頬をさすっている。
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