御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~
見てみると、そこには仲良く写っている小さな男の子と女の子。
女の子の方は、よく見たら私。そして背景は恐らく当時の庭園だ。


「これ、もしかして!」

視線を写真から鏑木に移すと、彼は普段の無表情を珍しく崩し、唇の端をつり上げる。

「旦那様は写真がお好きですからね。もしかしたら……と思って、昔のアルバムを探してみましたらその写真が一枚出てきました」

鏑木には、ここに来る間の車中でこの件について簡単に話していた。私とお父様が話している間、まさかこんなにはっきりとした思い出を探してくれていたなんて!

そう。この写真に写る私の隣にいるのは、当時の大和田さんだ! どこか面影がある!


「それを見て、何か思い出したりはしますか?」

「うーん……」

何か思い出した……と言いたいところだけれど……わからない。この時の自分が楽しんでいたのかつまらなかったのかもわからない。

手掛かりになりそうなものも特に写ってはいない。背景にあるのは黄色と白の鮮やかな杜鵑草(ホトトギス)くらい……。


ーー杜鵑草?



あ……。



思い出のワンシーンがふと蘇る。

一つ思い出したら、水面に波紋が広がるみたいに……


大事なことを、私も思い出した。
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