御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~

その後、鏑木に車で別荘まで送ってもらった。

走り去る車を見送ってから、バッグの中の鍵を取り出し、鍵穴に差し込む。
だけど。

「あれ? 開いてる?」

出掛ける前は絶対に掛けた鍵が開いている。


「大和田さん、帰ってるの?」

呼び掛けても返事はないけれど、玄関に彼の靴がある。どうやら仕事が終わって帰宅しているらしい。

リビングに向かうと、彼はソファの上で仰向けになって寝ている。規則正しい寝息を立てて、気持ち良さそうに見える。


起こさないように、そうっと彼に近付く。
女性顔負けの長い睫毛。相変わらずきめ細やかな肌。当たり前だけれど今日もやっぱり美形だ。

サラサラで柔らかそうな髪は、羨ましいほど。
触れたらどんな感じだろう? と思わず考えてしまった。
触ってみたい。
気が付いたら、指先が彼の前髪に向かって伸びてーー


「襲う気?」


ビクッと身体が震えて、慌てて手を引っ込めるのと同時に一歩後退りした。

目を瞑っていたはずの彼はいつの間にか私を見つめてニヤッと笑っていた。


でも、その笑みが意地悪く見えたのは一瞬だけで、

「なーんてね! お帰り!」

と、いつもの柔らかな笑顔で上半身を起こした。

ビックリした……もちろん襲う気なんてある訳ないけれど、ほぼ無意識に触れたくなってしまっていたのは事実だ……。
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