騎士団長のお気に召すまま
「なんとでも仰ってください」


自分が底辺貴族であることを今更悲観したりしない。恨んだりしない。妬んだりもしない。

それを言われて怒る気持ちも悲しむ気持ちもない。

全てはここから始まるのだ。

ここから成りがってみせる。今はそんな気持ちでいっぱいだからだ。



「今更伯爵家の方に何を言われても構いません。

どうぞ、お気の済むまで」


激怒するどころか余裕の笑みさえ見せるアメリアに、ミアはさらに腹を立てる。


「調子に乗るのもその辺りにしておくことね。発言を取り下げなければ、キャンベル家の力でミルフォード家を徹底的に没落させるわよ!」


夜会の前にシアンが考えていた通りだ。

このままでは本当にミルフォード家が没落してしまうかもしれない。


「没落は本意ではないのですが、発言を取り下げることもいたしません」


きっぱり答えたアメリアに、「本当に腹が立つお人ですわね」とミアは呟く。


「貴族社会は縦社会。目上の者を尊敬しなければ恥をかきますわよ」

「ご忠告、ありがとうございます」


睨みつける鋭い瞳に、アメリアは口元にわずかな笑みを浮かべる。

恥をかかせるだなんて脅し文句を、今までどれだけ言われてきたことだろう。

今更こんな言葉くらいで引き下がれるほどアメリアの心は弱くはなかった。


「夜会に戻れないようにしてあげるわ」


そんな言葉とともに、ドンと衝撃が体に走る。

ミアがアメリアの両肩を思い切り腕で押したのだった。


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