臆病でごめんね
言いたい事を言い終わった先輩方は「早く食べないと時間がなくなる」と言いながら急いでテーブルに着き、お弁当を広げた。

少し遅れて私もオズオズと自分の定位置に腰掛け、お母さんの手作り弁当を食し始める。

安月給なのでお給料日前はどうしてもお財布が淋しくなり、その期間だけはお母さんにお弁当作成を頼んでいるのである。

元々お母さんは料理があまり上手じゃないけれど、今日は更に美味しく感じられなかった。

あんな事があった後に、食事を楽しめる訳がないよね。

だけど…。

私は今さらながらにあることに思い至った。

確かに私天然でうっかり屋さんだけど、複数の社員から苦情が出るほどの失敗を犯しただろうか?

もしかしてそのうちの何回かは私に罪を着せるために、誰かがわざとやったのでは…。

私が管理表に押印した後、給湯室に入ってまた布巾を浸したり、生ゴミを捨てたりあちこち濡らしたりすれば良いんだもの。

そこで犯人候補として、今まで私を叱ったりおちょくったりして来た何人かの社員の顔が思い浮かんだ。

……あの人達なら平気でそういう事をやりそう。

だとしたら酷すぎるよ。
無実の罪で、あんなに皆に責められるなんて。

私ってホント、女性に嫌われちゃうタイプなんだよね…。

思わず込み上がって来てしまった悔し涙を慌てて手の甲で拭い、微妙な味のお弁当を頑張って食べ進めた。
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