【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
ーーーピンッと、緊張の糸が張り詰める。
あんなに優しい笑顔で私に接していた歩夢さんも。
真剣な話になると、笑顔なんて一瞬で消え去る。
話を聞いていても、事の重大さが分からない私は
一人取り残されているような気がして。
でも
「蘭君を責めないでください...っ!」
庇うように蘭君の前に立つ。
怪我したのは半分私のせいでもあるから、話を聞いていて心が痛むのも...確かだけど。
やっぱり目の前で好きな人が責められるなんて、我慢ならないのが本音だったりする。
「おい、なにお前勝手に話に入ってきてんだよ」
せっかく蘭君に良いとこ見せてると思ったのに。
心底迷惑そうなその顔、やめてほしい。
「...君には俺が、蘭を責めているように見えるのかな?」
クスッと笑いながら、ソファから立ち上がる歩夢さん。
蘭君と同じくらいある身長。
思わず怯んでしまうほど、彼の不思議な雰囲気に圧倒されてしまいそうだった。
「だっ、だって!!
紫蓮想?の恥だとか、幹部の立場がないとか。
よく分からないけど...それって蘭君だけの問題じゃないのに、蘭君だけに押し付けてるように見えて...」
「そりゃあ蘭が総長だからね。......って、君もしかして"紫蓮想"のこと知らないの?」
「...しっ、知らないです。
そんなに有名なんですか?紫蓮想って」
「...うん、いや。有名っていうか。
紫蓮想の存在知らないのに、なんで蘭と知り合いなの?」
「...?それを知らなきゃ、蘭君と知り合っちゃいけないんですか?」