【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
蘭君がどんな人だとか。
どれだけスゴい人だとか。
そんなこと、私にとってはどうでもいい。
そりゃあ、蘭君が暴走族だと知って
正直怖いし、暴走族にあんまりいいイメージなんてないけど。
助けられたあの日から、私の世界は蘭君でいっぱいで。
今は蘭君の存在が私の世界を動かしてる...とさえ思えてくるから、恋ってすごいや。
「ぷっ...ふふ。君、めちゃくちゃ面白いね。
じゃあ蘭のこと、なにも知らないんだ」
「うっ...全然知らないです。
あっ、でも。夕飯はほとんどカップラーメンってことだけは知ってますよ!!」
「...カップラーメン...?」
「はいっ!!
この前蘭君の家に行った時、ゴミ箱の中見たら、カップラーメンだらけでした!」
「...」
「...?どうしたんですか?」
急に黙り込む歩夢さん。
私は濁りのない目で、キョトンと歩夢さんを見つめていたら。
歩夢さんは蘭君の方に、目線を流した。
「ふーん...蘭ってば、絶対他人、とくに女の子は部屋に入れないくせに。この子はいいのか」
「しょうがねえだろ。色々あったんだから」
「へぇー...あの蘭がねぇ...」
「お前、しつこいぞ。」
ニヤニヤした顔で蘭君をからかう歩夢さん。
最初っから、どこか嘘くさい人だとは思ってたけど
紳士に見えて悪魔だなあ...この人。