【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
簡単に突き放されて、泣いてしまいそう。
冷たい人だと、分かっていたけど。
そこまで言わなくてもいいじゃん...。
「あ、のっ!」
裏返った声で叫んだ。
周りに建物がないこの場所で作られた2人だけの世界は、寂しさだけが充満していた。
「あの...本当にありがとうございました」
「...」
「いくらお礼を言っても足りないくらいです」
「...」
「ただ、それだけ伝えたかっただけなので...っ!
それじゃあ!!」
彼とは反対方向に歩き出す。
地味な伝え方だったけど、ちゃんとお礼を言えてスッキリした。
さっさと帰って1日の疲れを癒そうと、鼻歌交じりに小道を歩いていると。
「お前...バカなのか?」
ーーーグイッと勢いよく腕を引っ張られて、驚いた。
彼に背中を向けたはずなのに。
その背中を追っかけてきてくれたのは、さっきまで私に背中を見せていた彼の方。