【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「お前...なにやってんだ」
視界に入ってきた、恐ろしいほど整った顔。
私の目の前に立つ彼は、お酒の匂いがひどく染み付いていた。
「あ、の。」
「...」
どうしよう
彼を目の前にすると、どうしても言葉に詰まってしまう。
「待ってたのか?」
「あっ、はい」
「バカか?もう用はねえのに、待つ必要がどこにあんだよ」
「...」
「...本物のバカだな、お前。
これ以上、俺になんの用があるって言うんだ」
長い脚で歩き出す彼に、慌ててついて行く。
行先なんて分からないのに。
追いかけるなんて、私ってばストーカーみたい。
「あの、ちゃんとお礼がしたくて。」
「必要ない」
「でも、助けてもらったのに、このままじゃ私悪い気がして」
「悪い気がするなら、もう二度とこの店に来るな。
あと俺の目に前にも二度と現れるな、邪魔だ」
「...」