【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。




歩夢さんの言ってることの意味がわからなくて
そんな真剣な表情で言われても、大げさだな〜っとしかその時は思えなかった。



だけど次の日、蘭君のお見舞いに行ったら。


空気の入れ替えとでも言いたげに開いていた窓が風を呼び寄せて


パタパタとカーテンを揺らしているだけの真っ白な部屋。そこに眠っているはずの蘭君の姿は...ない。





「彼なら昨日の夜目を覚まして、今日退院していったわよ?」


「そうですか...」




廊下を歩いている看護師さんに聞いたらそう言われ、言い返す気力もなく、病院から出た。




先生...

蘭君が目を覚ましたら、連絡するって言ったくせに。



医師が嘘をついちゃダメでしょ!?


それとも...

蘭君が連絡するなって、口止めしたのかな?



...ううん


別に喧嘩してるわけじゃないんだし
そんな考え、あるわけないよ。



だけど、なんでかな?



蘭君が倒れたあの日から、私の心にしがみついたモヤモヤが消えてくれない。


なんにもしてないのに...


なんだか変に罪の意識を感じちゃうのは
”私”のせいで蘭君が倒れちゃったと思ってるから...?



でもなんで自分のせいだって思ってしまうの?


私、なんにもしてないし、虐待されていた男の子を助けようとしただけ


正しいことをしようとしただけなのに。


なにかが引っかかってしょうがない。


やっぱり、いつまで経ってもこのモヤモヤは晴れないままだ。









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