【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
他人が自分の家に居ることが落ち着かないのか、それとも毎日そうなのか、彼はタバコを何本も吸う。
それは寝室だろうが、私が居ようが関係ない。
私がベッドに潜り込むのを確認して、彼は電気を消してドアを閉める。
"おやすみ"の一言もくれなかった。
そりゃあ...他人だもん、しかも会ったばっかりの人間なんて、不審者扱いされてもおかしくない。
でも少しだけ...ほんと少しだけ。
寂しいと思ってしまうのが本音。
初めての空間に、一人ぼっちは辛い...
何回も寝返った。
彼のベッドは軋むばかりで、私を励ましてはくれない。
ふと、思い出す、カラオケでのこと。
男に襲われそうになった時も、こんな風に不気味な暗さだった。
ーーーツゥ...っと。なにかが私の頬から滑り落ちる。
...やばい。
あの時の恐怖が蘇ってきた。