【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。




「...っ...」


塩っ辛い涙が、玄関先で倒れている俺の口の中に侵入してきた。


やっと終わった父さんからの暴力。


俺は今日も抵抗することなく、それを受け入れた。


だけど...


少しずつ迫ってくる限界。



もう、体も心もボロボロだ...。


いい加減、普通の親子に戻りたいな。



涙を流し終えて、やっと立つことが出来たフラフラのこの脚で、血を流そうと風呂場に向かおうとした時。



ーーーバンバンバン!!



玄関を叩く、乱暴な音が聞こえてきた。




「百目鬼さーん!?
悲鳴が聞こえたんですが、どうかしましたかー!?」



なんだ隣人か...


無視してそのまま風呂場へ行こうとした俺の意思を、俺の脚自身が止めた。


...なんだ、なんで体が動かないんだ?


それになんだよこの違和感。


勝手に手が玄関の方に伸びる。


...もしかして俺


助けてほしいのか?




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