【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。





痛みには痛みを、と。


父さんはズボンのポケットからタバコを出し、ライターで火をつけて、そしてそれを


ーーー俺の腕に押し付けた。



「ーーーーーア゛ッ...ッッッゥ!!!??」


「痛いか!?痛いか蘭!!」


「やめっ...父さん痛い熱い!!!!...ッゥ...!」


「なあ蘭。
頼むから俺を1人にしないでくれよ...なあ蘭...頼むよ...」



痛い痛い痛い痛い痛い



あまりの痛さに、悲痛が唾液と一緒に口からこぼれ落ちる。


なあ、父さん。


俺はあと何回、この痛みを我慢すれば父さんに信じてもらえるんだ?



分かる、俺には分かるんだよ、父さんの気持ちが。



あの女の血を受け継いでる俺に、捨てられることが怖いんだろ?


嫌でも俺はあの女の子供なんだ


だけど
俺は父さんを見捨てたりなんかしない。


しない、から。

父さんに反抗したり抵抗なんかしないよ。


俺には父さん
父さんには俺

この世で二人ぼっちだね。

同じ痛みを味わった者同士、2人だけで生きていこう...。


なあ、そうだろ?父さん。







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