【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
それから残りの夏休みは蘭君と2人で過ごした。
お泊まりはもちろん、流しそうめん、夜の学校に肝試し。
蘭君との思い出がノートには書ききれないくらいに増えていく。
そして、夏休み明けの学校。
色んなことを思い出しながら、廊下の窓枠に肘をついて外を眺めていると。
「すみません...あの」と、背後から誰かに話しかけられて、すぐに振り返った。
視界に入る可愛い顔をした女の子...いや、男の子。
高校生男子にしては背が小さい方だ。
1年生かな?
...なんて可愛いんだろう!!
愛くるしい...っ。
「えっと...どうしたの?」
「いえ、あの。
さっきハンカチ落としましたよね!?」
緊張しているのか、声を震わせながら黄色いハンカチを差し出してきた男子生徒。
「あっ...!」
スカートのポケットをまさぐっても、確かに朝入れたはずの黄色いハンカチがない。
「あっ...ありがとう!
わざわざ届けてくれて...」
「いえ、移動教室だったんで、拾った時にすぐ渡せなかったんですが。
無事返せてよかったです」