【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
*
「彩羽ちゃん、おかわりあるから。遠慮せずどんどん食べてね」
「...はい」
久しぶりに息子と会える喜びを隠せないのか、それとも今までの罪滅ぼしなのか。
暖かい家庭特有の母親の料理を作って待っていたらしい。
テーブルに置いてある豪華な食事に、隣に座ってる蘭君と苦笑い。
「兄さんも、遠慮せずに食べてよ...。
って言っても、これから毎日食べることになるだろうけどね」
そう言って、鈴君が先にご飯を口に運んだ。
でも蘭君は食べようとしない。
私も真似して、持っていた箸を置いた。
「...?
どうしたの蘭、食べないの?」
不思議そうにお母さんが言う。
「いや...」
「そうよね、久しぶりの母親の料理だもんね。
緊張して喉に通らないのね」
「母さん」
「あっ、そうだ蘭!!
今住んでるマンション解約手続き、お母さんも一緒に行ってあげるからね」