【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
リビングには見えない境界線が引かれているような気がして、他人の私は邪魔なんだと無言の圧力をかけられている。
だから、リビングに入ろうなんて、そんなおこがましい事思えないから。
帰ろうと後ろを振り返ると。
蘭君が、すごい勢いで抱きついてる母親を引き離して
私の肩を掴んだ。
そんな蘭君を見て、お母さんと鈴君は唖然。
空気がピリッと変わる。
「なに...っ、帰ろうとしてんだよ」
「だって私...必要ないじゃん」
「ふざけんな、俺はお前がいるから平常心を保ててるんだ...」
「...っ」
「...言ったろ?
お前は俺の心の安定剤だって」
「...」
「もうすぐ、すべてが"終わる"から。
見届けろよ...彩羽」
鈴君とお母さんに聞こえないように、蚊が飛ぶような微かな声で蘭君は言う。
もう知らないよ...
好きにすればいい。
そう、見捨てたいのに。
蘭君の言うことを聞いてしまう私は境界線を突き破ってリビングに足を踏み入れた。