Flower love
「初めて、なんです。こんなに人を愛したの……初めてなんです。心から、あの人のためなら何でもしようって思える人……初めてでっ……! こんなに人を愛したこと、ないんですっ……! だから、忘れたくな、いっ……! 失いたく、ないっ……! ラウルと過ごした時間はっ……あたしの、宝物っ……だからっ……!」
ロアは肩を竦める。
「だけど、ね、リンちゃん。ラウルは……」
「あたしの……お父さんでも構いませんっ!」
あたしの発言に、ロアは驚いたように目を見開いた。
「あたしは、それでもラウルを愛してます。ラウルがお父さんだって、そんなの構わないっ……! ラウルのためなら、喜んで消えます!」
ベッドの横に置いてある鏡を見つめ、あたしはこう言い切った。
ロアもその鏡を見つめて、息を呑む。
「リン……ちゃん」
鏡はあたしを映してはくれなかった。
確かに、姿はここに存在する。
なのに、鏡はあたしの存在を現してはくれなかった。
ロアはしばらく下唇に噛み付いて黙っていた。
が、やがてまたあたしの顔を見て、安心させるように微笑む。
そして、そっとあたしの頬に唇をつけた。
「ごめんね、リンちゃん。ちょっと、リンちゃんの気持ちを確認したかっただけなんだ」
「え?」
「元々、リンちゃんを抱こうなんて思ってなかったってこと。だけど、いい教訓になったでしょ? 警戒心を持たないと、危ない目に遭うよ」
ロアは悪戯めいた笑みを浮かべ、あたしの上から退いた。
「ろ、ロアさんの馬鹿っ! あたし、本当に……怖かったんですよっ……!?」
あたしは上半身起こして、再び泣き出す。
「泣かないでよ、僕、悪者みたいでしょうが」
ロアはおろおろと困ったような表情見せた。
「充分悪者じゃないですかぁ!」
あたしはそんなロアなど構わず泣き叫ぶ。
「ほらほら、ごめんってば」
ロアはあたしの肩を抱いてぽんぽんと優しくあたしの頭を撫でた。