「其の花の、真白に咲く」〜麗しの執事と令嬢の秘恋〜

『結婚をしている身』という母の言葉に引きずられるようにもして、『信じている』と言っていたキースの言葉が思い起こされる。

けれど彼は、信じているというその反面で、リュートのことを告げ口をして、私を裏切っていた。

それが、真に私を手に入れるための、リュートを遠ざける彼の策略だったとしたら、

キースは、結婚当初から私を欺いていたことにもなるのかもしれない……。

そう考えると、結婚生活の中で培ってきたはずの彼への信頼が、崩れ薄れていくのを抑えられなかった。


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