「其の花の、真白に咲く」〜麗しの執事と令嬢の秘恋〜

「……リュート」

文末の彼の署名を指でなぞって、もう一度手紙を胸に抱いた。

「……今すぐにでも、あなたに会いに行きたい……」

口にすると、涙がこぼれた。

「だけど……」

と、手紙を胸に考え込む。

「……行ってもいいの……」

答えを出せずに、自分の部屋に戻って、ベッドに身体ごと倒れ込んだ。

「……リュート…私……」

『あなたは結婚をしている身』ーー先程の母の言葉が頭をよぎる。

「……会いに、行きたいのに……」

手紙を固く握り締めて、ただ自分の身を呪うしかなかった……。


< 122 / 207 >

この作品をシェア

pagetop