「其の花の、真白に咲く」〜麗しの執事と令嬢の秘恋〜
「そう、あれがサムよ。ねぇサム、ちょっとこちらに来て!」
後ろ姿に呼びかけると、麦わら帽子をかぶったふくよかな顔が振り向いて、
「…ジュリアお嬢様、今そちらへ参ります」
と、私たちの所に歩いて来た。
片手に小さなシャベルと、もう片方の手には土を掻くクワを持ったサムは、
「…こんな格好で申し訳ありません、お嬢様。新しい薔薇を育てようと思っていたものですから」
と、頭を下げた。
「いいのよ、気にしないで。サムのおかげで、こんなに美しい薔薇が見られるんだもの」
言うと、
「ありがとうございます。そう言っていただけると、私も嬉しい限りです」
くしゃりと顔を崩して笑った。