「其の花の、真白に咲く」〜麗しの執事と令嬢の秘恋〜
男性にしては細く華奢にも見える身体に、濡れたように艶やかな黒髪と青く深い宝玉のような瞳を備えた若き執事は、佇まいも麗しく優美とも言える雰囲気を漂わせていた。
「リュート、あなたって本当に憎たらしくなるくらいに、素敵よね?」
その中性的で綺麗すぎる容貌を見ていたら、つい皮肉のひとつも言いたくなって、そう呟く。
「ありがとうございます。お嬢様」
頭を下げるリュートに、
「皮肉よ…そんなこともわからないの?」
少し苛立って言うと、
「……わかっております」
と、返された。
薄く微笑を浮かべる顔が、ますます憎たらしくも映る。
どうしてこうも彼には勝てずに、いつもやり込められているんだろうと思ったら、なんだか悔しくもなってきた。