幼馴染の 愛でられ姫
『美桜 沢山食べたね』くすくす

『どれも 凄く 美味しくてつい
食べすぎちゃった』えへへ

(可愛い過ぎるだろ。)
『美桜……これからなんだけど』

『ん? これから?』きょとん

『うん、これから』

『ん?なぁに?』


『んー。 とりあえず 移動だな(笑)』

『??? 何なに? 』


『まぁ、とりあえず 行こう』


(伊織 どこ行くんだろぅ、何だろぅ)


『行くよ♪』
美桜の 手を引いて スタスタ車まで 歩いていく伊織……。



カツカツカツカツ
『社長!? 』

『藤堂……』

ぱっと 手を離す2人。

(見られた?まずいなぁ……
なんでこんな場所に……迂闊だった)

『社長、会合は終わったのですか?』

『ああ、滞りなく 』

『そうですか。』


(なんなんだ?なんて 言う?)


『社長、会合も無事に終わりましたので
私は これで失礼致します。』

(???美桜? )焦る伊織……

『分かった。じゃあ、また 会社で』
(美桜……)


(藤堂さん……どうして?伊織と 何かある?
とりあえず、メールしておこう。ってーー
メアド知らなかったわ 泣)

美桜の後ろ姿を 寂し気に見つめる伊織。
(くそっ)

『藤堂…… 何か用か?』

『いえ、私は ただ、社長を
お見かけ致しましたので、社長、
もし宜しければ、少し御一緒願えませんか?
会合も 終えられたと 伺いましたし』


『ああ』

『じゃ……』
『あいにくだが、この後はプライベートの
用事があるので失礼する、また 会社で』


すぐさま言葉を重ね 藤堂の次の言葉を
言わさない伊織。
有無を言わさずに その場から立ち去っていった。

『社長……』
伊織の後ろ姿を 寂し気に 悔しそうに見つめる秘書。



『くそっ!あの女……』

伊織は 心の声を漏らしながら美桜を探すが
もぅ、美桜の姿はない……

(せっかく、せっかく
ここまで 漕ぎ着けたのに 。
このまま 諦めるなんて、許せない。探すぞ)

急いで外に出て タクシー乗り場へ急ぐ……





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