今日もたっくんに溺愛されちゃっています。
「えー、チケット売り切れ?」
「だから言ったのに。この映画は前売りで買わないと無理だって」
「つまんなーい」
「他の映画でいいじゃん」
「やーだー。これじゃなきゃ観ない~」
「はぁ…ワガママ言うなよ。めんどくせぇ」
すぐ後ろから聞こえてきたこんな会話。
どこかで聞いたことがあるような声に振り向くと、矢吹先輩が女の人と一緒にいた。
どうやら先輩も振り向いた私に気付いたようで、すぐに視線が重なってしまう。
「あれ?あんた何してんの?」
「え?あ、私は…」
なんでこんなとこで……この人は苦手なのに。
先輩と一緒にいる女の人は私の顔を見て明らかに不機嫌そうだし……
に、逃げたいかも。
「諒介、誰よこの女。浮気は許さないから」
「うざ。映画観ないならもう帰りたいんだけど」
「やーだー。違う映画館行こうよぉ」
「どこ行っても一緒だって」
………どうせこのチケットは懸賞で当たったものだし。
1枚余るのもったいないし。
私は今すぐここから逃げたいしちょうどいい。
「あ…あのっ、先輩、これ良かったらどうぞ」
「は?」
「じゃあ……さよならっ」
「おいっ………!!」