今日もたっくんに溺愛されちゃっています。
映画館を出ると、すぐに漏れたため息。
はぁ。先輩にチケット押し付けて逃げちゃったけど…やっぱり映画を観たかったのが本音。
でもあの状況じゃあ仕方ないか。
あの先輩、彼女いるくせに私に付き合おうとか言っちゃう最低な人だしもう絶対関わらないようにしよう。
そんなことより今から何しようかなぁ…
家に帰るとたっくんに構われちゃうし、ドキドキして悶々したくないし…どうしよ。
そんなことを考えながらトボトボと歩いていると、突然後ろからグイッと腕を引っ張られる。
「……おい、待てって」
「えっ?わっ…!」
驚いて振り向くと、そこにはまた矢吹先輩の姿があった。戸惑う私とは対照的に、先輩は表情一つ崩さない。
「どうしたんですか?」
「映画始まる。さっさと来い」
「へっ!?あ、ちょっと…!」
そのまま腕をグイグイ引っ張られ、映画館に連れ戻されると訳も分からぬまま席に座らされた。
もうチンプンカンプン。
「あのっ…!」
「静かにしろ。もう始まる」
なにこの人…この偉そうな感じすごく苦手。
やっぱり帰ろう。
そう思い立ち上がった瞬間、先輩はすかさず私の腕を強く掴む。
「なぁ、こんな恋愛映画俺一人で観ろっていうのか?地獄じゃん」
「嫌なら帰ればいいじゃないですか」
「ちょっと気になってる映画だから観たいんだよ」
「そう、なんですか…?」
なんなの……本当に変な人。
彼女は一体どうしちゃったのかな?
喧嘩でもしたとか…?
だからって私を巻き込まなくてもいいのに。