溺れて。
下に降りると、両親はもう仕事に出ていた。
テーブルには書き置きがなく、簡素な朝ごはんがぽつんと寂しそうに置いてあった。
「まだ、温かいかな」
ラップを剥がし、小さく手を合わせた。
「いただきます」
高校2年生になってもこの生活は変わらない。
親は朝早くに出て、夜遅くまで帰ってこない。
しかもいつも両親は一緒に帰ってくる。
だから、二人で仕事終わりにでも出かけているんだろう。
なんか、家族じゃないみたい。
兄がこの世からいなくなっただけで、この家族はこんなにも変わってしまった。