Perverse second
どういうふうに三崎に気持ちを伝えて、どんなふうに微笑もうか。



新たな関係を築いた俺達二人の初めての朝は、どんなものになるのか。



頭の中で何度も何度も考えた物語は一瞬で消え失せた。



このホテルのモーニングは美味しいと評判だっただけに残念だが、さすがにこの状況で冷静に向かい合って食べる勇気はない。



二人とも立ち寄ることなく隣にあったコンビニに吸い込まれるように入った。



オニギリを2個と飲み物を購入すると、偶然にも店の前に止まっていたタクシーに乗り込む。



考えてみれば俺達は昨夜から何一つ話せていない。



中西の暴走から始まって、会話らしい会話など何一つ出来ていない。



なのに三崎の気持ちを確かめることなく抱いたのは間違いだったんだろう。



肌を重ねていたあの時は、気持ちが重なったかのように思えたけれど。



結局は俺一人の勝手な思い込みで、三崎にとってはキレイさっぱりリセットしたくなるような出来事だったというわけだ。



なんともいえない雰囲気のままの俺達二人だったが、展示会自体は滞りなく終わる。



飛行機の中でも家に帰るタクシーの中でも、三崎はすぐに眠ってしまって話すことも出来なかった。



初めは俺を避けるための狸寝入りなのかと疑いもしたが、タクシーに揺られて俺の肩に頭を乗せている今なら本当なのだとわかる。



「バカ女…」



寝顔は昨日と同じなのに、関係性だけが大きく変わってしまった苦しみが、俺の心を支配していた。
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