Perverse second
『柴垣さ……。俺に腹を立てるなんてお門違いだってわかってる?』



「え……」



『三崎さんに何一つ伝える事もできない柴垣は、俺に怒る資格なんてないよ』



津田さんの言葉は正論で、俺の意気地のなさを見透かされた気がして恥ずかしかった。



『俺は柴垣と同じ立場で争いたかった。だけど、いつまでたってもその場から動かない柴垣を待ってやれるほど、良い人じゃないんだよ俺も』



津田さんの存在が怖くて、争うこともしないまま抜け駆けし、挙句に無かったことにされたのをいいことに三崎から逃げた。



確かに俺が津田さんなら、そんな男に構ってなんてやらないだろう。



『ま、柴垣は好きな人に自分の気持ちすら伝えられず、一生後悔したまま仕事に生きればいいよ。柴垣なら成績上げてくれそうだしね。そうしてくれれば俺も上司としては助かる』



鼻で笑うような津田さんらしからぬ物言いに驚いて、俺は一言も言葉を発せない。



いや、正確には全て図星で、言い訳するのが情けなかっただけだ。



言い表せないほどの自分に対する怒りが込み上げてきて、携帯を持つ手が震えた。
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